近年はフォトグラムの手法で制作を行う三宅砂織。

 

一見すると写真?絵?と迷う印画紙の作品は、既存の画像を見てモノクロ反転した絵に描き写し、それを暗室で印画紙の上に置きコンタクトプリントして作られています。この独自のプロセスで制作される作品は、絵画の成立条件を混乱させると同時に維持するという、相反する三宅の意図を反映しています。 

 

三宅の選ぶ画像はさまざまですが、多くは蚤の市で入手した写真や知人から譲り受けた写真などです。

写真術の発明以来、人々はひたすらにカメラで世界を対象化してきました。そして現代の私たちは、たくさんの写真のイメージに囲まれ、影響を受けながら生きています。三宅は絵画、版画、写真への興味を出発点として、イメージというものがどのように記憶や想像力を生成していくか、また、個人の人間性の在り方が、イメージを媒介として、どのように社会的、歴史的、地域的なものか、という関心を発展させてきました。

 

三宅は選んだ一つの画像にプロセスを通してコミットメントします。そうして作られる作品は、痕跡、影、などの認知と意味づけにおけるメタファーを具現化し、私たちをイメージとは何かという考察へと誘います。

現在取り組んでいるシリーズのタイトルTHE MISSING SHADE(失われた影)は、18世紀の哲学者David Humeの人間の認知に関する例え〝the missing shade of blue〟からとられています。三宅はHumeの言葉の意味に加え、絵画の起源と影にまつわる寓話、フォトグラムを含む写真技法が原理的に影を写しとって作られていることなど、人間の文化の中のイメージと影の複層的な結びつきをこのタイトルに込めています。

 

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